「ファーストラブ」は今年の159回 直木賞を受賞。
大人の恋愛で注目を浴びている島本理生さん。
昨年はナラタージュの映画化で話題になりましたが
今回はデビュー作から最近の話題作まで紹介します。
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ファーストラヴ
夏の日の夕方、多摩川沿いを
血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。
彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、
あらかじめ購入していた包丁で父親を刺した。
環菜は就職活動の最中で、
その面接の帰りに凶行に及んだのだった。
環菜の美貌も相まって、
この事件はマスコミに大きく取り上げられた。
なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
文藝春秋 1,728円(税込)
夏の裁断
小説家の千紘は、編集者の柴田に翻弄され苦しんだ末、
ある日、パーティー会場で
彼の手にフォークを突き立てる。
休養のため、祖父に残した鎌倉の古民家で、
蔵書を裁断し「自炊」をする。
四季それぞれに現れる男たちとの交流を通し、
抱えた苦悩から解放され、
変化していく女性を描く。
文芸春秋 734円
Red
夫の両親と同居する塔子は、
可愛い娘がいて姑とも仲がよく、
恵まれた環境にいるはずだった。
だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。
胸を突くような彼の問いに、
仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、
またひとつと姿を現し、
快楽の世界へも引き寄せられていく。
中央公論新社 842円
リトル・バイ・リトル
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。
家族は、ふみ、母、小学校2年生の異父妹の女3人。
静かで平穏で、一見何の変哲もない生活だが、
そこに時折暗い影を落とすのは、
家族の複雑な過去だった。
習字の先生の柳さん、
母に紹介されたボーイフレンドの周、
2番目の父―。
「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで
ふみは少しづつ、光の射す外の世界へと踏み出してゆく。
KADOKAWA 562円
シルエット
何カ月も何カ月も雨が降り続き、
もしかしたらこのまま雨の中に閉じ込められるかもしれない。
そう予感するような季節の中にいた―。
女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠くん。
冠くんと別れた後、半ばやけで付き合った遊び人の藤野。
今の恋人、大学生のせっちゃん…
人を求めることのよろこびと苦しさを
女子高生の内面から鮮やかに描く。
17歳の時のデビュー作。
KADOKAWA 562円