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『身分帳』
映画『すばらしき世界』(2021年春公開予定)原案。
人生の大半を獄中で過ごした前科10犯の男が、
極寒の刑務所から満期で出所した。
身寄りのない無骨者が、人生を再スタートしようとして東京に出て
職探しを始めるが、世間のルールに従うことができず、
衝突と挫折の連続に戸惑う。
刑務所から出て歩き始めた自由な世界は、
地獄か、あるいは。
伊藤整賞を受賞した傑作ノンフィクション・ノベル。
佐木隆三/著
講談社文庫 924円
『三の隣は五号室』
傷心のOLがいた。
秘密を抱えた男がいた。
病を得た伴侶が、
異国の者が、
単身赴任者が、
ドラ息子が、
居候が、
苦学生が、ここにいた。
ーそして全員が去った。
それぞれの跡形を残して。
小さな空間に流れた半世紀を描いて、
読む者の心をやさしく揺さぶる
長嶋有、面目躍如の会心作、ここに誕生
長嶋有/著
中央公論新社 1,540円
『長い旅の途上』
きっと、人はいつも、それぞれの光を捜し求める長い旅の途上なのだー。
1996年、カムチャツカで熊に襲われて
世を去った著者が残した、最後のメッセージ。
過酷な自然に生きる人間や動植物、
そして極北の大地に注がれたまなざし。
人生の豊かさとは、
人間の幸とは、
いま改めて我々に問いかける
静かな声がここにある。
ジョン・グリシャム/著 村上春樹/訳
文藝春秋 858円
『倚りかからず』
「もはや/
いかなる権威にも倚りかかりたくはない/
ながく生きて/
心底学んだのはそれぐらい/
自分の耳目/
自分の二本足のみで立っていて/
なに不都合のことやある/
倚りかかるとすれば/
それは/
椅子の背もたれだけ」。
強い意思とナイーブな感受性によって紡ぎだされた
詩集『倚りかからず』に
「球を蹴る人」「草」「行方不明の時間」の詩3篇と
高瀬省三氏のカット16点を添えて贈る瀟洒な一冊。
茨木 のり子/著
筑摩書房 638円